支配人の山本です。こんな時期なので前向きな事を日々掲載しますね。
いこいの村ヘリテイジ美の山はこの世情から4/15水~休館していますが、本当は4/14火から実施する予定でした。
ところが、閉館準備をしていた矢先の14時頃、当日予約が急に2組4名入り、閉館は1日遅れとなったのです。
1組は以前宿泊された方で、美の山の麓で建築中の仕事の男性2名、そしてもう1組は初老の上品なご夫婦でした。当日はお話する機会もなく、翌朝の朝食後、こんなやりとりがありました。
「おはようございます。今日はどちらへ出かけますか?」(山本、以下Y)
(毎回、お客様の詮索をするのが癖でして、観光情報提供の押し売りです)
「そうだ、あなた、ちょっとお尋ねになったら」(Kさん奥様)
「何かありますか?皆さんよりは多少詳しいですよ、何でも聞いて下さい」
「あのう、秩父に移住しようと思って昨日は物件探しをしていたんです」(Kさんご主人)
「なるほど、どこを回ったんですか、拝見します(興味深々)」(Y)
横瀬町、小鹿野町、皆野町の物件、聞けば、役場をそれぞれ訪ね親切に対応してもらったが、要領を得ず途方に暮れていたご様子。
ここで当館の出番です。
まず、こういったお話にどうしてホテル業が関係するのか、基本的考えをご説明致します。
いこいの村ヘリテイジ美の山がある秩父郡皆野町は、どこの田舎も大変問題視している「人口流出と移住促進」が町経営の大命題です。全国津々浦々の町村でこの問題を命題としていない自治体は一つもありません。
町村が人口減に伴い消滅すると言われて久しいですが、人口増には方法は2つしかありません。
① 住んでいる人が引っ越さないで結婚してからも子育てを続ける。
② 外から引っ越してもらう。
①の解決策は、地域の魅力を財政的に支え「いい場所だなあ」と感じてもらう情報を発信する事、
②の解決策は、まず観光です。
移住するにしてもいきなりはあり得ないし、皆野町に住んでみたいなあ、と思わせるきっかけは観光以外ありません。
で、いこいの村ヘリテイジ美の山の出番です。
いい所だなあと思わせる一番は、ズバリ何だと思いますか?
それは「ここの人は親切だなあ」と思わせる以外にありません。
どんな所にも観光施設や史跡は大なり小なりあり、その多寡はあまり関係ありません。移住者にとって一番は「地域のコミュニティとの関わり」です。
別荘地もいいですが、インフラの関係で継続性が乏しく、結局空家になっています。
話を戻します。
「それなら、私もここで色々なコネができましたから、だれに聞いたらよいのか調べましょう。なあに、恐縮しないで下さい。私も下心があって、一つの営業として進めていますので遠慮は無用です」(Y)
皆野町には「みらい創造課」というのがあって、この課の存在意義は、ずばり「人口増」です。K課長は一番若くして今春課長になった、とても親切な、いかにも「皆野人」という方ですが、手法は今風でなかなかの切れ者です。正直、地元の役場にこんな素敵な人がいるのか!と感心した方です。
早速、翌日お会いして、空き家の調査状況、各地域の口添え役の選出、移住希望者の物件回りやお試し宿泊の運用等、具体的な今後の作戦を話し合いました。「なんだ、結構しっかりやっているじゃん!」という印象でした。
そして、Kさんご夫妻にも現状をお伝えして、話を進めています。
長野も検討したけど、たまにどうしても東京に戻らなければならないので、秩父はうってつけだと仰せでした。私も秩父、特に皆野の地理的条件の良さは同感です。東京のすぐ隣にある、田舎文化の残る秩父の凄さを、あまり知らない人が大半ですよねえ。
皆さん、不思議ですか?何でそんな事をホテルがやるかって?
これは営業なんです。考えてみて下さい。
このKさんがうまく皆野町に移住したとしたら、必ずご家族やお友達を呼ぶはずです。その時に当館を必ず使うはず。また、Kさんの友達で移住したいという人がいれば、それがまた…と連鎖反応が広がります。
どうですか、ホテルって実は社会的な存在意義が色々とあるんですよ。
それも、やはり地域に密着しているからこそですね。
いこいの村ヘリテイジ美の山は色々な事に挑戦する宿です!